アマゾンがホールフーズ(Whole Foods)を買収してはや半年、様々な取り組みが発表されました。今回はその新展開のまとめと、サンフランシスコでも今週から利用できるようになったAmazon Prime NowによるWhole Foodsのデリバリーについてレポートしたいと思います。
アマゾンのホールフーズ買収から半年で起こった7つの変化
この半年で発表された取り組みは私が知っている限りでも7つありました。半年でこの展開、はやいですよねー。
- 一部商品の値下げ
- ガジェット販売
- アマゾンロッカー設置
- プライベートブランドの販売強化
- アマゾンプライム会員特別割引
- 5%ポイントバック
- Amazon Prime Now デリバリー
1つ1つ参考記事とともに簡単にご紹介していきます。
1. 一部商品の値下げ
一番最初に行われた施策がこちら。基本的に高くて有名だった(Whole Paycheckと揶揄されていた)ホールフーズですが、バナナやアボカド、一部の生鮮食料品などの値下げが行われました。
参考記事: Amazon Cuts Whole Foods Prices as Much as 43% on First Day [Bloomberg]
2. ガジェット販売
ホールフーズ内でのアマゾンガジェットの販売がスタートしました。Amazon Echoが「産地直販(Firm Fresh!)」という表示とともに販売されています。
参考記事: Amazon marks its territory at Whole Foods by selling ‘Farm Fresh’ Echo devices in select stores [TechCrunch]
3. アマゾンロッカー設置
ホールフーズ内へのアマゾンロッカーの設置。買い物ついでにアマゾンの商品を受け取ることができるようになりました。またこのロッカーを使ってアマゾンに返品することもできます。
参考記事: Worried about your Amazon package sitting outside all day? Whole Foods has an answer
4. プライベートブランドの販売強化
ホールフーズのプライベートブランド365 Everyday Valueのアマゾンでの販売。アマゾン内でも1〜2を争う売れ行きのプライベートブランドに成長しているようです。
参考記事: Whole Foods’ brand is becoming Amazon’s most powerful weapon in taking on the grocery industry [Business Insider]
5. アマゾンプライム会員特別割引
プライム会員限定の特別割引。サンクスギビングの際にはターキーが、バレンタインデーには薔薇の花束がプライム会員特別価格で提供されていました。
参考記事: Amazon and Whole Foods unveil new price cuts for Prime members [The Verge]
6. 5%ポイントバック
ホールフーズでアマゾンプライムVISAカードで買い物すると、5%ポイント還元されるカード会員特典。これなかなかすごいですよね。常に5%OFFみたいなもんですから。
参考記事: Amazon’s Prime Rewards Visa cardholders now get 5% back at Whole Foods if they pay for Prime [TechCrunch]
7. Amazon Prime Now デリバリー
先月発表されたアマゾンプライムナウでのホールフーズ商品の取り扱い開始。配送料無料!2時間で生鮮食料品が届くようになりました。今週からサンフランシスコでも利用できるようになったので、早速使ってみました。
参考記事: Amazon is bringing free Whole Foods delivery to Prime members in San Francisco and Atlanta [Recode]
たった半年でこの展開、改めて動きが早いですよね。買収はもっと前から決まっていたようなので、すでに様々な仕込みは行われていたのだとは思いますが、大企業→新展開には時間がかかるイメージがあるので、アマゾンさすがだなーと思わずにはいられません。
Amazon Prime Nowでオーダーしてみた
今週からサンフランシスコでも利用できるようになったので、早速オーダーしてみました。アプリ画面↓です。
アマゾンプライムナウでのホールフーズ利用は、
- 35ドル以上購入すれば2時間デリバリーが無料
- 1時間デリバリーを希望する場合は配送料4.99ドル
- 対応時間は8:00am-10:00pm
です。記事では1時間デリバリーは7.99ドルでしたが、私のエリアでは4.99ドルでした。
私が注文したのは金曜日の夜の8:15ごろ。2時間無料の時間には間に合わず、当日中に届けたかったら1時間お届けの料金を払うか、配送料無料を選ぶなら明日の8:00-10:00以降のスロットを選ぶかでした。
まぁ急ぎでもないので8:00-10:00にしました。そして翌朝の9:30頃無事届きました!
外側は紙袋ですが、中は保冷用の袋に包まれています。保冷剤は入っていませんが、冷たいものは冷たいまま維持されています。
受け取り時に身分証明書が必要です。デリバリーの人にCalifornia IDを渡すと裏面のバーコードをスキャンされます。特にアルコールなどを注文してなくても、アマゾンのルールとして必要なのだそう。
ちなみに細かな点ですが、何度か注文プロセスを試してみたところ、今から2時間以内に届く!というよりは、10時台の注文だったら11-13時のスロットを選べるというような運用みたいです。
配送料無料はものすごく気軽!
Instacartなどのデリバリーサービスは以前から利用しているので、その便利さは理解しているのですが、配送料無料のハードルの低さ!これはすごいですね。
ちなみに購入代金以外にチップ5ドルを払いました。今回は40ドルの買い物に対して、チップ5ドルが最初からのせられていましたが、もちろん$0や$10など自分で編集することができます。
チップは米国で暮らしていると普通の習慣なので、特に修正せずにすすめました。明細はこんな感じ。
↑明細に記載がありますが、もちろん前述の6番の5%ポイントバックの恩恵も受けることができます。家で買い物できて、配送料もかからず、そして5%ポイント還元。本当にいいのかしら!?という気すらしてきます。
Instacartと比べてみる
Whole Foodsのデリバリーといえば、Instacart。Instacartは、デリバリーサービスを運営するスタートアップで、Whole Foodsからの投資も受けており、アマゾンとホールフーズのニュースがあると、よく引き合いに出されています。実際どのぐらい違うのか?気になったので比べてみました。
InstacartとAmazon Prime Nowでは、同じWhole Foodsのお買い物でも取り扱い商品が微妙に異なります。今回は野菜などは基準が異なるのでのぞいて、どちらでも取り扱っているパッケージ商品で比較してみました。
Amazon Prime Nowで、Kombucha、豆腐、牛乳などをカートに入れて、2時間デリバリーを指定すると$42.22です↓
↑これと同じ商品をInstacartでカートにいれて、2時間デリバリーを指定すると、
アマゾンでは$42.22のお買い物がInstacartでは$52.85でした。10ドルも違う!
そもそもInstacartは、一部商品がお店より少し割高に設定されていることに加え、配送料&サービスフィーもかかるので、Amazon Primeより高くなることは明らかなんですが、こんなに違うとは。ちょっとビックリです。
でもでも!このアマゾン&ホールフーズのタッグで、Instacartが窮地に追いやられているかというと、実は真逆。追い風が吹いているようです。
Instacartは2月に$4.2Bの評価額で$200Mを調達
アマゾンによるホールフーズの買収で、一時は「どうなっちゃうの!?大丈夫?」と思われていたInstacartですが、意外とそれが追い風になったようで、全米2&3位のスーパーのKrogerやAlbertsonsとの提携を発表しています。
アマゾンとホールフーズの件が、他のスーパーマーケット企業に「こりゃまずい…うちもなんとかしなくちゃ!」という気持ちにさせたようです。
参考記事: Instacart has raised another $200M at a $4.2B valuation [TechCrunch]
確かにアマゾンとホールフーズによる「2時間で届くスーパー」は、他のスーパーマーケットにとって確実に脅威ですよね。Instacartが既に持っている配送網はかなり魅力的にうつるはず。とはいえ、$4.2Bのバリュエーションは高すぎる気はしますが…。
スーパー大手のTargetも昨年Instacartと類似のサービスを提供するShiptを$550Mで買収しています。
参考記事: Target To Acquire Shipt for $550 Million to Speed Up Same-Day Delivery [Fortune]
ということで、ちょっと話がアマゾンから他社の取り組みにそれましたが、アマゾンとホールフーズの新しい展開、半年でもこんなに色々あるので、次はどんなことが起こるのか、引き続き楽しみですね。そしてそれにより引き起こされる他社の新展開も!
★思い立ってメール配信をスタートすることにしました↓
サンフランシスコから新サービスやスタートアップ情報を発信していきます。「プロダクトハンターあかねの月報」として月1回ぐらいを目安に不定期で配信していく予定です。