オイシックスさんが、らでぃっしゅぼーやを買収しましたね。昨年5月には大地を守る会との経営統合もあり、これから大きく変わるであろう食材&野菜のデリバリーマーケットにオイシックスがどんな手を打ってくるのか、これからの展開が楽しみです。アマゾンの参入ウォルマート(西友の親会社)と楽天の提携などもありますしねー。

ということで、オイシックス=ミールキットのKit Oisixを連想しまして、その流れで「なんで米国ではミールキットが盛り上がってるの?日本だと前からヨシケイとか、キットオイシックスとか前からあったよね?」というたまに聞かれる疑問に対して、私の妄想による回答を繰り広げたいと思います。

ミールキット(Meal Kits)とは?

amazon

ミールキットについては少し前に日経MJに寄稿しているので、馴染みのない方はそちらの記事を参照してください。

日経MJへの寄稿記事: 米で人気「ミールキット」競争で利便性向上に期待
https://www.nikkei.com/article/DGXKZO2462820014122017H56A00/

簡単にいうとレシピ付きの食材宅配です。日本だと時短に特化したサービスのイメージがあると思うのですが(TastyTableはちょっと違うけど)、米国は色んなパターンのミールキットがありまくります。

  • レストランクオリティをお家でタイプ: Blue Apron、Marley Spoon、Hello Fresh、Sum Basket、Home Chef
  • Kit Oisixのような時短タイプ: Gobble、Dinnerly、Amazon
  • アイテム特化タイプ: Ramen Hero(ラーメン)、 BurgaBox(ハンバーガー)、Purple Carot(ヴィーガン)

などなど。またネットで注文するタイプだけでなく、スーパーマーケットの店舗でのミールキット販売も盛り上がりつつあります。

kroger

ウォルマートについで全米2位のスーパーマーケットKrogerは↑上図のように店内でかなり大きなミールキットコーナーを設置しはじめています。参考記事: Grocery stores are fighting back against meal kit companies

また全米3位のAlbertsonsは最近ミールキットスタートアップのPlatedを買収しました。参考記事: Albertsons buys meal kit company Plated

ウォルマートもミールキット企業買収を検討中という噂が囁かれています。参考記事: Blue Apron shares rally after Walmart named ‘logical buyer’ of meal kit brand

昨年アマゾンがシアトル限定でミールキットの販売をスタートしたことも話題になりました。参考記事: Amazon is already selling pre-packaged ‘Meal Kits’ as it bites into service from Blue Apron and others

なんでこんなに盛り上がっているのか?私は「近い将来、ほぼすべての食事において、私たちは野菜や食材を自分で選ぶのではなく、ミールキットを買うようになる」可能性があるからなのではないかと思っています。

1. レシピをネットで探す→作るという工程が普通になってるので、結局必要な分だけ買えるミールキットを買うようになる

ベテラン主婦の方はレシピいらずかもしれませんが、皆さん大体「今日何作ろうかなー」と思ったら、ネットでレシピ検索するのではないでしょうか?

米国のスーパーデリバリーサービスのInstacartは、レシピから食材を購入するという流れを用意しています。

レシピ&リストコーナー: Recipes & Lists: Find recipes and lists you can order for delivery — all the ingredients and products to your door in an hour.

また人気動画レシピサービスTastyもウォルマートと提携をスタートし、食材購入へ誘導するリンクをつけはじめています。

参考記事: Walmart and Jet are joining forces with BuzzFeed in their quest for millennial shoppers

一見「便利じゃん」という感じですが、将来的には「余らないちょうどよい分量を宅配してくれるサービス」つまりミールキットビジネスになる!という流れが容易に想像がつきます。

日本でも核家族化が進み、スーパーで4分の1サイズのキャベツが売られるようになったように(いつの話だろう…)、利用者のニーズに合わせた展開を考えると、今日作る料理に必要な分だけ食材を届けてもらう!というのもありうる話だと思うのです。

アマゾンもミールキットサービスをシアトル限定でスタートしていますが、現在はAmazon Fresh会員向けのサービスではあるものの、Prime Now対象商品になれば注文から1時間で届く可能性があります。新鮮な食材が適切な量ですぐ届くなら、食材を買いだめする必要はないですよね。

ミールキットビジネスが成熟していけば、扱えるレシピ数も相当増える&どんなレシピにも柔軟に対応できるようになるのではないかと。

2. あらゆる家事は自動化しはじめているので、食材購入もいずれ自動化される

食洗機、ロボット掃除機、乾燥機付き洗濯機などなど家電の進化により、家事は自動化しはじめています。でも調理においてはまだまだ発展途上。ただ最近、ちきりんさんが勝間和代さん宅を訪問した記事と勝間さんの本「ロジカル家事」を読んで、調理も自動化しつつあることに感動を覚えました。次回日本に帰った際には絶対ホットクックを買って帰ろうと心に誓っています。

あらゆる家事がどんどん自動化される中、食材購入も自動化されるのは自然な流れではないでしょうか?なんとなく「今日は玉ねぎとキャベツと豚肉とほうれん草と…」という買い物をするのではなく、献立も決まっていてそれに必要な量の食材が家に届く方が合理的ですよね。無駄もないし。

「献立は主婦の日々の悩みのタネNo1」なんて記事をよく見ますが、ならば早々にテクノロジーで解消すべきなのではと思います。それはミールキットが解消してくれる!

3. 栄養管理の面でも自分で選ばない方が合理的になる

ミールキット中心の生活になれば、自分の栄養管理も簡単になります。日々何を食べたかが管理できるわけですから!少し前のブログでFastCompanyの未来の食品&食事についての記事 Six Artifacts From The Future Of Food を紹介したのですが、その中に

体内にセンサーを埋め込むことにより、腸管内微生物などを含むマイクロバイオームを逐一観察できるようになるので、ゲーム感覚で食事を変えて、腸内環境を改善することができる。

という項目がありました。ちょっと飛躍した議論ではありますが、こういった健康管理ができるようになったら、それに対して適切なミールキットが届くという未来もあると思います。

今のところ毎日の料理は家事の一部ですが、いずれはやりたい人だけが凝った料理をつくるような趣味になるんじゃないかなーと思います。私が料理が苦手だからそうなってほしいと思うのかもしれませんが。。

ということでミールキットからだいぶ未来っぽい話まで飛躍しましたが、ミールキットは引き続き2018年も注目!です。まだまだ値段が高いので、こなれてくるのを待つ感じですかねー。その辺はアマゾンやウォルマートの参入で大きく変わるのではないかと。

ミールキットが流行ってる話をすると「オイシックスとかヨシケイでしょ」と言われるので、まあそうなんですが、もっと色々未来につながっているはずなのだ!(あくまで持論ですけど)と思ってムズムズしてたので、ブログに整理してみました。

未来のことを考えるのって楽しい。

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