お友達にすすめてもらった本 Modern Romance を読みました。コメディアン&俳優の Aziz Ansari (アジズ アンサリ)の本で、コメディアンが恋愛本?と思ったのですが、データと実際の検証に基づいたロジカルで非常にわかりやすい本でした。こういうシチュエーションあるあるー!という笑いの要素もちりばめられつつ。

インターネットの登場により現代の恋愛は過去と比べていかに劇的に変化したか?いかにややこしくなったか(笑)そしてそれが私達に与える影響についてまとめてあります。

私が読んで面白かった部分をいくつかご紹介します。基本的には米国の話しですが、一部日本への出張調査なども含まれています。

親世代の結婚相手との出会い方との比較が衝撃的

1932年のペンシルバニア州の調査によると、3組に1組のカップルは結婚前は5ブロック以内に住んでいたんだそうです。6組に1組は同じブロックに、8組に1組は同じ建物に住んでいました。なんて身近な人と結婚していたんでしょう!以下は年代別結婚相手との知り合い方です。

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1980年頃にオンラインが台頭しはじめて、2000年頃から急上昇しています。家族や教会、近所の出会いはダダ下がり、女性の社会進出に伴い職場での出会いが上昇しますが、それも最近では下降傾向です。

女性の大学進学率があがったり、社会進出によって、出会い方が変化していることも興味深いのですが、オンラインの出会いの急上昇っぷり!すごいですよね。

今は3人に1人がオンラインで知り合って結婚している時代。親世代にとって子供世代の恋愛は難解だろうなぁと思いました。

結婚した理由のヒアリングもおもしろくて、老人ホームで聞いたおじいちゃん&おばあちゃん層のこたえは「いい人だったから」「きちんと仕事をしていたから」でした。

一方現代では「私の分身を見つけた」「彼がいない人生など考えられない」「彼と知り合ってベストバージョンの私になれた」など、いわゆる「the one」な感じ。めっちゃハードル高めになっています。

Tinderがいかに革新的かがわかった

スワイプで好みを判断するDating AppのTinder。そのゲーム的でユニークなUIゆえに大ヒットしたと思っていましたが、この本を読んでもう1つ別の側面があることに気づきました。TinderについてはBuzzfeedの動画参照してください。

Match.comなどの従来のOnline Datingサイトは利用開始時にプロフィール登録や相手に求める条件の入力を行います。どの写真をプロフィールにするか、自己紹介文をどんな風に書くか、それが自分の分身としてサイトに存在するわけですから、時間もかけますよね。自己紹介文も正直に書くというより、自分がどんな風に見られたいかを反映させながら書くことになります。

その後、サービスが”相手に求める条件”をベースにマッチしそうな人のプロフィールを提案してくれます。その中からメッセージを送って、しばらくやりとりして、そして実際にデートする…というのがこれまでの流れでした。

そんな風にプロフィール作成に多大な時間がかかり、かつ実際に会うまでにも信頼を得る必要があるためメッセージのやり取りに時間をかけていたわけです。

ところがオンラインデーティングサイトのデータ分析によると90%が写真で相手を選んでいるんだそうです。プロフィール文は二の次。また最終的にOnline Datingサイトでうまくいった人を分析してみると、”相手に求める条件”としてあげた要素とは異なる人とうまくいく確率が高いとのこと。最初の登録作業にはあんまり意味がないことがわかります。

そこで出てきたTinderはFacebook認証で即登録完了。基本写真を見ながらスワイプするだけという非常に理にかなった動線になっていると言えます。またGPSを活用して近くにいる人が表示されるため、会うまでのハードルも低い。

百聞は一見にしかずで、やっぱり会わないとはじまらないわけです。

当初はそういった気軽さから、ちょっとチャラいアプリと思われていましたが、最近はその気軽さによるアドバンテージもあり、恋人探しとしても活用されているようです。Tinderすごいな。

選択肢があり過ぎる。ベストを求めようとすると、結果的に満足度は低い

オンラインにプロフィールを公開したとたんに、数十万人の目にさらされて、数百人からメッセージが届く。出会えすぎてしまう問題ってオンラインならではですよね。

この本では、Maximizer=Bestを求める人 と Satisficer=good enoughで満足する人にわけ、実はSatisficerの方があとあと物事への満足度が高いという研究結果が紹介されてました。

Good enough ではなく、Bestを求めるといつになっても見つからない。最初は「いい人がいればー」と思ってたのに、「まだまだいける!もっといい人がいるに違いない!」みたいな気持ちになって、さらなる高みを目指してしまうって、よく聞くような、ありそうな話ですよね。

またBestにたどり着けた場合でも、たどり着くための労力(負担)が大きすぎるために「こんなはずじゃなかったのに…」という思いがあとあと生まれやすいのだそうです。

確かにこれは選択肢がありすぎるオンラインの弊害だなぁと思いました。

ラーメンが美味しい草食系男子の国、日本の恋愛事情

米国だけでなく、日本、アルゼンチン、フランスの恋愛事情についても紹介されていました。日本での調査中は主にラーメンを食べつつ、ロボットレストランに行ったそうです(動画)。

主にHerbivore man=草食系男子とCarnivorous woman=肉食系女子についての考察がかかれていました。また、おかしな場所としてのキャバクラのことなど。キャバクラは以下のように紹介されていました。

The most popular kind of establishment in the relationship replacement industry is the hostess club, which is basically the latest variation of a long-standing Japanese business tradition where men go to a nice bar-type atmosphere and pay women to provide intimate personal service in a romantic but not explicitly sexual way. The women are like modern-day geishas.

日本には Relationship replacement industry があるから日本男子は恋愛する必要がない…日本について海外の人が見るとそんな風に見えるんだなぁと面白かったです。

他にも日本人が自分のプロフィール写真に自分でないものの写真を設定するという謎についても書かれていました。猫や炊飯器の写真など。確かに当たり前のように思ってましたが、確かにおかしい。

ピックアップしたポイント以外にも、Sextingについて、それによって生まれているリベンジポルノの恐怖について。またテキストメッセージによって浮気しやすくなった反面、浮気がバレやすくなったことなど、スマホの登場による恋愛&結婚環境の変化について幅広く網羅されています。

この著者であるアジズ・アンサリさんはNetflixオリジナルの Master of None というドラマシリーズでも主演を務めており、こちらもModern Romanceを体現したような内容で結構おもしろいです。

まとまりなく個人的に面白かったポイントをまとめましたが、この本面白いのでオススメです!

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