あっという間に12月。今年読んだ本の中から、引き込まれた2冊+1冊のレビューを書いてみました。本のレビューって難しい。婚活本レビューもこちらで書いてます

1冊目:黒い迷宮: ルーシー・ブラックマン事件15年目の真実

あの蒸し暑い夏の夜、彼女は東京の路上から永遠に消えた――。

2000年7月、六本木でホステスとして働いていた元英国航空の客室乗務員ルーシー・ブラックマン(21)が、突然消息を絶った。失踪当初から事件を追い続けた英紙《ザ・タイムズ》の東京支局長が、日英豪関係者への10年越しの取材で真相に迫る。滞日20年、日本を知り尽くした著者にしか書き得なかった底知れぬ闇とは?

複雑に絡み合う背景を丹念に解きほぐして「文学」にまで昇華させ、海外で絶賛を浴びた犯罪ノンフィクション。著者が事件現場のその後を訪ねる日本版あとがき収録。
ルーシー・ブラックマンさん事件のルポ。事件を様々な側面から丁寧に描いていて、まるで小説のようなルポタージュでした。
 
被害者の父と母でもこんなにも見え方が違うものかと思ったし、イギリス、東京、大阪など国や都市が持つ雰囲気や歴史の違いも興味深かったです。
 
翻訳本なのに、全く日本語の違和感を感じさせず、まるで最初から日本語で書かれたような本でとても読みやすい本でした。
 
ルーシーさんは私と同年代で、21歳の時に六本木の外国人クラブで働いていました。客との同伴を取り付けるため、休日に羽振りが良さそうな客と出かけ、そのまま帰らぬ人に。
 
この本を読むと、ルーシーさんが本当に普通の女の子だったことがわかるし、私は同時期に六本木に行ってたし、自分にも起こり得たのでは?と思いました。歯車は予期せぬほんのちょっとの差で大幅に狂いうる。
 
こういうちょっとの差の話って、不謹慎とは思いながら、ひきつけられるんですよね…。闇金ウシジマくんとか、新宿スワンとか。

2冊目:サラバ!

西加奈子作家生活10周年記念作品 

1977年5月、圷歩は、イランで生まれた。 
父の海外赴任先だ。チャーミングな母、変わり者の姉も一緒だった。 
イラン革命のあと、しばらく大阪に住んだ彼は小学生になり、今度はエジプトへ向かう。

後の人生に大きな影響を与える、ある出来事が待ち受けている事も知らずに――。
上巻の第1章を読んでる時は、読むの結構しんどいな…と思っていました。特に目立った事件もなく、正直引き込まれる要素もなく…。が、主人公である僕(歩=あゆむ)がエジプトに引っ越したあたりから、日常描写の鮮明さや丁寧さ、そしてテンポの良さに引き込まれました。
 
上巻を読み終える頃には、僕のその後が気になって仕方なくなっていました。
 
僕、美しい母、朴訥な父、偏屈な姉、4人の家族を中心に話が進みます。その周辺で起こる親戚との人間関係の不一致、友達との距離感の取り方、どこにでもある風景を西加奈子が僕の目を通して描き出します。
 
ミステリーのような作品に慣れていると、この本はあまりに何も起こりませんが、読み進めるうちにその日常に引き込まれてしまいました。また私はこの主人公である僕と同年代なので、時々挟み込まれる時代描写がとても懐かしく感じました。
 
何気ない出来事の連続なのですが、それが最後には繋がって、強いメッセージになります。それがまたなんとも心地よかった!

+1冊は今年読んで不愉快だった本オブザイヤー!:消された一家―北九州・連続監禁殺人事件

七人もの人間が次々に殺されながら、一人の少女が警察に保護されるまで、その事件は闇の中に沈んでいた―。

明るい人柄と巧みな弁舌で他人の家庭に入り込み、一家全員を監禁虐待によって奴隷同然にし、さらには恐怖感から家族同士を殺し合わせる。

まさに鬼畜の所業を為した天才殺人鬼・松永太。人を喰らい続けた男の半生と戦慄すべき凶行の全貌を徹底取材。渾身の犯罪ノンフィクション。
睡眠を奪い、思考を奪い、精神的&肉体的暴力により人間を支配する様子をまざまざと描いています。本当に不愉快極まりない事件です。夜一人で読んでいて怖くて寝れない…という経験を久しぶりにしました。
 
サンフランシスコにいても、新刊をKindleで読める時代。本当に便利だなぁと思います。2016年は全部の本が発売当初からKindleでも読めるようになることを祈ってます! 
 
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