SDGsで容器・梱包見直し、米で広がる新サービス
奔流eビジネス(スクラムベンチャーズ マーケティングVP 三浦茜氏)
コロナ禍でオンラインショッピングやフードデリバリーサービスの利用が一層増えた。積み重なる段ボールや使い捨て容器に嫌悪感を覚えることはないだろうか?
米アマゾンは、2019年から配送曜日を指定できる「Amazon Day」を設け、決まった曜日にまとめて届けることで、梱包の数を減らす取り組みを行っている。まとめて配送することで配送時の二酸化炭素排出も減らせる。SDGs(持続可能な開発目標)の観点からも、梱包を減らすことや再利用可能なパッケージの利用は今後大きく進むだろう。
生鮮食品デリバリーの米ゼログローサリーは、プラスチック容器を排除した。堆肥化可能(コンポスタブル)な素材か、再利用可能なビンのパッケージに限定し、2000アイテムほどを取り扱う。懐かしの牛乳配達のような仕組みで、次の商品を届ける際に空き容器を回収する。
非会員向けサービスは容器代を含んだ販売価格となっているが、月25ドルの会員になれば、1回あたり7.99ドルの送料が無料、10~15%の割引価格で購入でき、容器は無料で回収してくれる。生鮮食料品を適切なパッケージに詰めてくれるだけでなく、取り扱っている一般消費財も全てプラスチックフリーのものが選ばれている。ビン入りの歯磨き粉なども取り扱っており、セレクションの幅の広さを感じた。
フードデリバリーの米デリバーゼロは、届く食べ物はすべてBPA(ビスフェノールA)フリーのポリプロピレンプラスチック容器に入っている。繰り返し使っても1000回は使える容器だ。食べ終わった容器は、次回デリバリーの際に返却するか、パートナーレストランに返却する。
3週間以内に返却しなかった場合は、コンテナあたり3.25ドル請求されるが、よくフードデリバリーを使う人にとってはハードルは高くないだろう。環境に優しいというだけでなく、返却義務があるため次の注文時に同じサービスを使うモチベーションにもなり、うまくできていると感じた。
段ボール箱をなくして、宅配の箱を再利用可能にしようとしている米Booxも興味深い。もちろん段ボールもリサイクル可能な素材ではあるが、各家庭に届いた段ボールが適切にリサイクルされるとは限らない。Booxの箱はポリプロピレンでできており、段ボールよりも強く、雨や雪にもたえることができる。
環境に配慮した商品を提供するD2C企業らがBooxを採用している。受け取った人は、箱についているQRコードから返却の方法が確認できる。箱は簡単に折り畳めるのでコンパクトになり、同梱されている返却ラベルを貼って返却できる。また直接返却できるスポットも6000カ所以上設けている。返却後は、Booxが洗浄し再利用される流れだ。
こういったサービス、以前は私自身「意識高いな」と思っていた部分もあるが、実際に使ってみるととても気分が良い。またこういったサービスが身近になると、自分自身が不必要なゴミを出すことにさらに嫌悪感を感じるようになる。取り巻く環境が変われば、感覚も変化するもの。ここ数年で大きく変化するのではないだろうか。