米国で急成長、子供向けデビットカード
奔流eビジネス(スクラムベンチャーズ マーケティングVP 三浦茜氏)
先日、2歳の息子がスーパーの支払い端末に手首をかざしていた。私が普段「アップルウオッチ」のアップルペイを使って支払いするので、手首をかざせば会計ができると思ったらしい。子供世代のお金の認識は母親世代とは全く異なるものになることを感じた。
米国では親がアプリで管理できる子供向けのデビットカードを提供する「Greenlight(グリーンライト)」というサービスが急成長している。昨年9月に12億ドルのバリュエーション(企業評価価値)を付けユニコーン企業となった。今年4月の資金調達ではバリュエーションは23億ドルになり、1年で約2倍になった。2017年にサービスを始めて以来、多くの親子に利用されており、子供のお金の管理だけでなく、金融教育の面でも気の利いた作りになっているので紹介したい。なお、米国のデビットカードはオンラインでも利用できる。
①Spend(お金を使う)
まず基本の機能として、子供が使うお金をデビットカードにチャージすることができる。実際に子供が買い物した際には親側のアプリにリアルタイムで通知が送られる。利用できる店舗を制限したり、用途別に予算を分けたりすることも可能だ。毎月のお小遣いも設定すればオートチャージできるので、渡し忘れもない。また急にお金が必要になった際も、子供がリクエストできるようになっており、即時に入金することができる。
②Earn(稼ぐ)
子供がお金をもらうタイミングといえば、お手伝いだ。子供向けのアプリ画面ではお手伝いリストを表示させることができ、「毎日玄関の靴を並べる」「毎週水曜日皿洗い」といった具合に、お手伝いの内容が表示される。子供がお手伝いをこなし、親が承認すればそれに応じた報酬がデビットカードに追加される。
③Save(ためる)
子供が目標金額に向けてお金をためる機能も付いている。パソコンや自転車など、将来買いたいと思っているものの金額を登録することができ、そこに向かって現在どの程度お金がたまっているかを確認することができる。親が特別に利息を設定することもできる。
④Give(寄付する)
寄付のためのGiveセクションも設けられている。自分で寄付先を選び、寄付することができる。
ユーザーは月4.99ドルを支払い、1家族につき最大5枚のカードを発行できる。7.98ドルの上位プランを選べば、前述の4機能に加えて、投資アプリとしても使うことができ、親が許可すれば子供自身が株や投資信託を購入することもできる。
グリーンライトを使えば、全てのお金の利用履歴が残る。親にとっても便利だが、子供にとっても「自分が何にお金を使ったか?」を考えるよいきっかけになりそうだ。何となく使って終わるのではなく、あとで見返すことができたら、よりお金の使い方を考えるきっかけにもなるだろう。
最近の子供たちはオンラインゲームなどで小遣いを使うことが多く、お金をネットで使えるようにする必要がある。日本もその点は同じだろう。子供世代の決済方法や金融教育は新しいサービスが生まれるタイミングなのかもしれない。