「アメリカで人気の毎月定額払いサービス、裏にはある共通のビジネスモデルが!サブスクリプションサービス(定期購入)あれこれ」でも紹介した、サブスクリプションサービスの先駆けともいえる化粧品サンプルサービスBIRCHBOXを4ヶ月間使ってみた感想をまとめました。実際に送られてきたBOXとともに!ライバルサービスであるipsyについても。
BIRCHBOXとは?
2010年創業のニューヨーク発のスタートアップ。忙しい女性が高品質な化粧品を安価で試す機会(DISCOVER)を提供しています。
月額$10で、申し込み時に髪や肌タイプ、美容に関する悩みなどを入力すると、その情報に基づいて毎月の5つの化粧品サンプルが送られてきます。
日本でも類似のサービスに@cosmeを運営するアイスタイルの「BLOOMBOX」などがあります。
2014年9月時点の数字では、資金調達の総額は$70M、6カ国で運営、従業員は300名、800以上のブランンドパートナー、100万人以上の利用者がいるそうです。
送料はユーザー負担、メーカーはサンプル提供、BIRCHBOXは顧客の声&新規顧客をメーカーに届ける。
ユーザーが払う月額$10は主に送料と梱包費に充てられていると思われます。メーカーはサンプルを安価(無償?)で提供。
メーカーはこれまでは店頭などで配っていたサンプルを、リーチできていなかった適切なユーザー(肌タイプや利用傾向を調査済み)に大量に届けることができるようになりました。店頭でリーチできるのは基本的には既存顧客なので、新たな層の獲得につながっています。また配るだけでなく、プロダクトに対しての顧客の声も取得できるようになりました。
ユーザーの口コミ入力のインセンティブはBIRCHBOXのポイント。ポイントはフルサイズ商品を購入する際の割引に使うことができます。
サンプルを試したあとでユーザーの購入を促す
サンプルで終わるのではなく、その後フルサイズの商品購入がこのビジネスの収益スキームです。ユーザーはBIRCHBOXのウェブサイトでフルサイズを購入できるようになっています。
たくみなメールやクーポン攻撃で、私はBIRCHBOXを初めて4ヶ月ですが、既にフルサイズのプロダクトを2つ、$100近くBIRCHBOXに支払ってしまいました。恐るべし!
データをもとにした自社製品の開発
BIRCHBOXは昨年から製品開発事業もはじめています。これまでユーザーの口コミデータから、より好まれる化粧品はどんなものなのか?を知り、適切な価格帯を知り、自分たちが持っている流通の中で販売する。自然な流れだと思います。ニューヨークに実店舗も構えています。
実際に使ってみて感じたこと
不思議な心理なのですが、タダでもらったサンプルだと「いつか使おう〜」と思って使わないことが多かったのですが、BIRCHBOXにはお金を払っているので、使わないともったいない気がしてちゃんとサンプルを試すんです。実際にサンプルを試すので、その良さにも気づく。そして本品の購入につながる。これは面白い発見でした。
またサンプル品の口コミを書こうとしてサイトに行くと、自分が良いと思った商品をみんなが褒めていて、そこで改めてフルサイズの購買意欲を刺激されるんです。これもすごい。
さらに利用3ヶ月目には上図のように「3ヶ月記念$10オフクーポン」なんてものも送られてきて、購入意欲の刺激に包囲されまくります。よくできてる!
BIRCHBOXとipsyの違い
ipsyは、人気YouTuberのMichelle Phanが始めた化粧品のサブスクリプションサービス。最近人気急上昇中で、昨年9月にシリーズBで$100Mの資金を調達しています。
BIRCHBOXとipsy、どちらも似たようなサービスですが、ipsyは上図のようにBOXではなくGlam bagと呼ばれるポーチに入って届きます。毎月違うデザインなのでこれはなかなか可愛い。
中身に関してはipsyはメイク道具が中心で、BIRCHBOXは基礎化粧品とかヘアケアグッズも入ってる点が大きく違う気がします。そもそも私自身がめんどくさくてあんまり化粧しないので、ipsyのアイテムが活躍する機会がないため、BIRCHBOXにしぼろうかなーと思っている今日この頃です。
また取り扱いブランド量の差もあってか、ipsyはドラッグストア系のコスメが多く、BIRCHBOXは百貨店とかSephora系のコスメのサンプルが入ってる感じでした。これはウェブで調べてみると、他のユーザーも同じような感想を持っているようなので、実際そうなんだと思います。
とはいえ、ipsyも$100M調達してますからね。サービス同士が競ってよりよいサービスになるのがユーザーとしては楽しみです。
日本の類似のサービス「BLOOMBOX」は月々1620円なので正直サンプルに支払う金額としては高い気がします。$10ならランチ1日分ぐらいの感覚なので、まあ許容範囲かなと。送料の違いとかなのかな?