編集委員の横尾茜です。

自分にとっては習慣化してしまって意識していないことが、他人にとっては目からウロコのライフハックだった!? なんて激レアなライフハックを探るインタビュー『突撃!隣のライフハック』。

第11回は、株式会社サイゾーの代表取締役兼サイゾー本誌編集長、揖斐憲さんに突撃しました。

ジャニーズからネット上の事件、新興宗教のスキャンダル記事まで、他のメディアが取り上げないタブーに挑むサイゾー。その情報ソースはどこから!? サイゾーにもタブーはあるの!? などなど、一読者として気になることを、お聞きしちゃいました。

インタビューは以下から!

 

ヨ:芸能ネタから宗教ネタまで、幅広いサイゾーの情報ソースは、どこから得てるんですか?

:自分の場合、スポーツ紙や専門誌の記者や、テレビ局のスタッフさんが多いですね。有償、無償、さまざまな形で情報提供していただいてます。

そこでしか得られない情報を持っている人達から、いかに早く情報を仕入れるか、いかに安く仕入れるかがキモです。ライターさんにいちから調べてもらうこともありますが、そういった方からの情報の方が早く、効率よい記事制作ができる。

本業がある人たちなので、全面的に頼るわけにはいかないですし、あくまで、もらった情報を元に自分たちで取材するのが基本ですが、「ネタがあったらいつでも送ってくださーい」というネットワークを作っておくことは、かなり重要なポイントですね。

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ヨ:他誌の記者さんが情報ソースなんですか!? 意外です。その記者さん達、自社メディアで書けばいいのに!

イ:大手メディアの記者さんたちは、情報は持っていても、しがらみが多くて、自社メディアで書ける情報は少ないんです。確定情報になるまでは書けない。

自分のところでは書けないけれど、別のメディアででも出した方が、公益性を考えてもよいですし、ユーザーの興味にも応えられるので、サイゾーに情報をお寄せいただいてるんだと思います。

メディア人の宿命というか「サガ」でもありますよね。あとは、ちょっとしたお小遣い稼ぎになりますし。

ヨ:少し前になりますが、小室哲哉氏の逮捕も、逮捕前に記事があがってましたよね? こういうのも、情報ソースは記者さんだったりするんですか?

イ:これも業界的には、常識ぐらいにみんな知ってる情報だったんです。みんな、逮捕に備えて張り込んでいた。でも、どのメディアも確定になるまでは書けない。情報ソースも大事ですが、書けるか書けないかの問題も結構あると思いますよ。

ヨ:情報への報酬って、内容によってランクがあるんですか?

イ:ほとんどないですよ。うちは安いですし。「このぐらいの額でもよければ、送ってください」とお伝えしてるので。

うちは月末締めなので、月末になると情報提供が増えるんです。テレビ局の方なんかは、お小遣い稼ぎのために、ギリギリになって小ネタを送ってくれる方が多いですね。だから、月末月頭のサイゾー編集部には、芸能情報が充実する傾向があるかも(笑)。

ヨ:そのネットワークは、どうやって広げるんですか?

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イ:当たり前ですが、会って、食べて、話して...が基本です。あとは紹介→紹介でつないでいく。自分はいきませんが、相変わらず、ゴールデン街などで人脈を広げている編集者もいます。

ヨ:ゴールデン街ってドラマの世界みたいですね(笑)

イ:週刊誌の記者さんは、今もゴールデン街によくいらっしゃるみたいですよ。

ウェブメディアの場合は、2ちゃんねるやブログなどで情報を集めて、逆にそれが本当かどうか裏取りするところで足を使いますが、紙の編集者の場合、ネタ元を探すために足を使うことが染みついている。これは、今後も重要だと思います。

ヨ:言えない話の聞きだし方を教えてください!

イ:「あなたには迷惑かけません」ということを、明言する。相手が言えない理由は、自分にリスクがあるからなので「リスクありません」というのを明言してあげることが、大事だと思います。とはいっても、ときどきご迷惑をおかけしてしまうときもありますが...。

でも実際は、言えない話を無理やり引き出すというより、有益な情報を他人に知ってもらいたい人が多いので、そのはけぐちメディアになってるイメージです。

サイゾーは、芸能ならジャニーズもバーニングもOKですし、企業で言ったら、電通もトヨタもOKですよ! という姿勢なので、自然としゃべりたい人からのネタは集まってきます。

「しゃべりたいんだけど、どこか媒体ないですか?」「 サイゾーだったら書けるんじゃない?」みたいな流れで、紹介でネタをいただいたりもします。

企業の一社員だと、さすがにリスクがあってしゃべりにくいですが、企業を取材している経済専門誌の記者など、自分の雑誌では書けない情報を持ってて、書きたい欲求を持っている人からの情報は、非常にありがたいです。

自分が知ってて、他の人が知らない情報って表に出したいじゃないですか。多少でも世の中にインパクトを与える形で、出せるにこしたことはないですし。

ヨ:何でもウェルカムなサイゾーにも、タブーはあったりしますか!?

イ:うーん、サイゾー=タブーがないっぽいですが、他のメディアが書かない、書けないことを書いているだけなので、実はそんなにタブー破りじゃないと思ってます。他のメディアが敏感すぎるだけで。もちろん、最低限のメディアの仁義はありますよ。広告主は気にしますし(笑)。

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ヨ:とはいえ過激な記事も多いので、読者からのお問い合わせなども多いのでは?

イ:芸能ネタは、ファンの方から熱いお叱りを受けたりすることは多々あります。

ただ怒り心頭というよりは、「○○くんはそんな人じゃないから、わかってほしい」というような内容が多いですね。2時間ぐらいご高説たまわったことも。

ヨ:なかなかヘビーですね。企業からのお問い合わせもありますか?

イ:企業からのお問い合わせは、あまりないですが、某大手メディア企業から強引に記事削除を要求されたときは、WEBの記事を下げたこともありました。

記事の内容に絶対の自信がある場合でも、裁判などになって、その対応に時間やコストを取られてしまうのは、少人数でやってるメディアにとってはキツイ。そこをしっかりやりすぎて、本業のメディアの方が立ちゆかなくなったら、本末転倒なので。プライドも節操も無いって言われたらそうなんですけど(笑)。

ヨ:揖斐編集長自身の情報収集ツールを教えてください。

イ:ツールというか、基本「人」ですね。集め方のツールとしては、基本的にメールです。

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とにかく「何かネタがあったらメールください」っていう、人間関係をつくることがポイントです。「揖斐さんだったら送るよ」と言ってくれる人もいるので、そのベースにある人間関係、信頼関係は大事ですね。

週刊誌を作ってるような人は、みんなやってることだと思いますが、サイゾーの場合は、幅広くそういったネットワークがあるのがキモだと思ってます。

でも、メールというツールがあって、本当によかったとは思いますね。会って情報集めてたら、時間かかってしょうがないですから(笑)。取材受けたり、売り込み受けたりしたら、必ず「何かネタがあったらメールください」ってのは、言っておきます。

ヨ:お会いする前は、「ネタ元は企業秘密! 言えない!」なんて言われたらどうしよう...と思ってましたが、色々お答えいただき、ありがととうございました!

イ:メディア同士ギブ&テイクですから。もちろん、本当に言えないネタ元もたくさんありますけど(笑)。そうだ、次は、横尾さんからも何かいただかないと。

ヨ:えええええー! すごいプレッシャー...。では、ライフハッカーの読者さんに呼びかけておきますね! 読者のみなさん、よろしくお願いしまーす!

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ということで、第11回のインタビューいかがでしたでしょうか?

サイゾーの編集長というと、危険で恐い人なイメージでしたが...。揖斐さんはとっても穏やかで、本当によかったです(笑)。

いわゆるライフハックとは、少し異なるインタビューになりましたが、「自分が知ってて、他の人が知らない情報って、誰かにしゃべりたい」だったり、「信頼してもらうためには『あなたには迷惑かけません』ということを明言する」なんてところは、マインドハック的に活用できそうだと思いました。あとは、「ネットワークは足を使って広げる」って本当に大事ですよね!

揖斐さん、ためになるインタビューをありがとうございました。では、また次回! 誰かのライフハックを探りに行きます!

(横尾茜)