D2Cは、Direct to Consumerの略。仲介業者を挟まず、製造から販売までを自社で行うモデルをさす言葉です。詳しくは→直販大本命「D2C」、広告から販売までネット総動員

3月のはじめ、D2Cの代表的なファッションブランドであるEverlane(エバーレーン)の路面店が、サンフランシスコにもオープンしました。ニューヨークには以前からあるのですが、サンフランシスコは初店舗!(Everlaneオフィスの1階にショールームがあったのですが、あれは店舗ではないらしい)。

「ついに!サンフランシスコにフラッグシップできたよ!」ということで盛り上がっており、週末は引き続き行列ができているようです。

ファッションについては、レンタルスタイリストサービスで済ませており無頓着な私ですが、Everlaneはこれまでも色々と記事を書いてるし、普段から好きで愛用しているブランドでもあります。ちょうど同日近くでブランチの予定もあったので、オープン初日に店舗見学に行ってきました。

オープンは3月3日なので、実際に行ってからしばらく経つのですが、あれは結構面白い体験が詰まってたのでは?と思い直したので、人気ブランドEverlaneの実店舗オープン時のマーケティングについて、ブログにまとめてみたいと思います。

が、その前にまず基本的なところから。

Everlaneはなぜ人気なのか?

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Everlaneについての私の寄稿記事&ブログポストはこちら↓

一言では言えないたくさんの魅力があるのですが、まず「高クオリティ、低価格ブランド」というのは大きいのではないかと。某商社でファッションに従事している方と話した際も「あのクオリティであの価格は、通常のファッションブランドでは実現できない」と唸ってました。

加えてEverlaneは、Radical Transparency=劇的な透明性を売りにしており、服を作るためにかかる全ての原価(材料費、道具代、人件費、関税、輸送費)、そして製造工場の様子まで全てをサイトで公開しています。

またそのRadical Transparencyのポリシーにより、「今年はカシミアを安く仕入れることができたから、去年より安くしておきますね」なんてことも。仕入れ価格は毎年変わるわけですが、一般的なブランドは原価が上がった場合は値上げし、下がった場合は販売価格をキープするもの。でもEverlaneは透明性を売りにしてるので、その分値下げしてくれるんです。いいブランドだなぁ。

そんな絶妙な顧客とのコミュニケーションもあり、私はじわじわ好きになってしまったのですが、そんな感じでみんな大好きになってしまうのではないかと思います。

Everlane Valencia オープン!

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サンフランシスコ店の場所は、ミッションというエリアのバレンシアストリート沿い。周辺にファッション関連のお店が並ぶ通りにオープンしました。

周辺を巻き込んでのオープニングプロモーションは、こちらのサイトにまとまっています。近くにある人気アイスクリームショップBi-Riteのアイスクリームが、Everlaneによる奢りだったり!Dolores Street Community Servicesへの寄付など、Everlaneらしさがつまっています。

さてさて、オープン当日お店の前に着いて(13:00)から、実際にお店に入るまで(14:50)約2時間かかりました。かなりの長丁場だったわけですが、その中で感じたことを簡単にまとめたいと思います。

行列2時間にちりばめられたマーケティング

インスタで行列の様子&盛り上がりが伝わってくる

店舗に行く前にEverlaneのインスタアカウントを見たところ、Storiesでほぼ現在の様子を見ることができました。めっちゃ行列してる!もちろんインスタを見て諦めちゃう人もいるかもしれませんが、ローカルの店舗が盛り上がっている様子が見れるのは、今っぽいなぁと思いました。

並んでる間に色々もらえる

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並んでいると100%SFのトートバックが配られることがわかったので、「せっかく来たし、まぁトートバックだけお土産にもらって帰ろうかな」ぐらいの気持ちで並びはじめました。そしたら色々もらえました。

(1)コーヒートークン
まずはコーヒーと引き換えることができるトークンをもらいました。Everlaneのお店の前に特別に手配したコーヒー屋さんのトラックが停まっていて、そこで好きなコーヒーをオーダーすることができます。寒い日だったので、カフェラテをオーダーして列に並びました。

(2)Bi-Riteのクッキー
そしてクッキー。店員さんがクッキーを配りに来てくれました。しかも近所の人気店Bi-Riteのクッキーってのが気がきいてるじゃないですか。ブランチの後で充分お腹は満たされていましたが、甘いものは別腹でモシャモシャ食べながら並び続けました。

(3)100%SFトートバッグ
並び始めて1時間後ぐらいかな?100%SFトートバッグももらえました(冒頭の写真)。しかも$18のプライスタグ付き(笑)。$18払っては買わないけど、Everlaneのオープンに立ち会った記念みたいな感じで、もらえるとやっぱり嬉しい!

そしてこの1、2、3が決して同時には来ないんですよねぇ。30分おきぐらいでくるのが絶妙だなと思いました。どこかで「行列長すぎるし、もう帰ろうかな…」と思うんですが、少し時間をおいてなにかが来ると「もうちょっと頑張ろうかな」という気になるんです。

そしてその頃には自分の後ろに長蛇の列ができているので、「ここで離脱するのはもったいないな」という気持ちに。

何の行列なの?って聞かれる

長蛇の列ですから、知らない人から見たら「なんのお店なの?」ってなりますよね。聞かれた店員さんが、「服屋さんだよ!」などの簡単な回答ではなく、「サンフランシスコ生まれのEverlaneっていうブランドが、今まではWebのみで展開してたけど、今日初めて路面店をオープンしたの。EverlaneはRadical Transparencyをポリシーにしてて云々…」みたいな感じで丁寧に答えているのが印象に残りました。

オープン初日でバタバタしてて、おざなりな回答になりかねないのに、笑顔で対応してて、「店員さんもEverlaneが好きなんだなぁー。ちゃんとフィロソフィーが行き渡ってていい会社だなぁ」と嬉しい気持ちになりました。

行列がマーケティングになってるだけでなく、店員さんの対応の良さでさらに好感度アップ。

店内は一度に35人まで

そしてついに入場!お店は白を基調とした広々とした空間、正面はガラス張りで自然光が入ってきます。記事によると入場は一度に35人までに制限しているそうです。広々とした店内なので、もっと入れてもいい気はしましたが、ゆっくり買い物できる、そしてお店が荒れない(店員さんがケアできる)範囲なんだと思います。

買わなきゃ!という焦りがない

これだけ待ったら何か買わなきゃ!と思っていたのですが、意外と欲しいものはなく…特になにも買わずに出てきました。だからといって「2時間も待って欲しいものなしかよ!」みたいな荒れくれ者になることもなく、「ネットで買えばいいかぁ」という爽やかな気持ちで帰ることができました。

アウトレットとかに行くと「今、買わなきゃ!」と思って焦っちゃうタイプなので、そういう焦りがないのは改めていいなと思いました。

帰り道、話しかけられる

帰り道しばらく周辺をブラブラしてたのですが、「そのバッグ、Everlaneの?お店できたの?」みたいな感じで、ちょいちょい話しかけられます。トートバッグはもらって嬉しいだけでなく、広告効果もバッチリみたいです。

初日の体験はここまで。そして家に帰って思ったのは、

サンフランシスコ全肯定が嬉しい

「100%SF」グッズ、そして以下のようなサンフランシスコに向けての愛が溢れるメッセージがうまいなぁと思いました。トートバッグの中にも、メッセージが書かれたパンフレットが同封されてました。

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この↑コピーのサンフランシスコあるある感、みんなが経験していることをさりげに描写しつつ、「サンフランシスコが私達のホーム」というのがじんわり響きます。Everlaneにとっても、私達にとっても。

当たり前のことながらEverlaneのサンフランシスコ店に来る人は、ほぼみんなサンフランシスコ周辺に住んでいる人。家賃も物価も高いサンフランシスコ、でもみんなこの街が好きだから住んでるわけです。

だからみんなサンフランシスコを肯定されたら嬉しいと思うんですよね。私も嬉しい。100%SFグッズ欲しくなっちゃう。もらったトートバック、今後もちゃんと使う!

これらがどのぐらい緻密に計算されているかはわからないですが、なんか全体的によい経験だったので、まとめておこうと思いました。きっと凄腕マーケターがいるんだろなぁと思う反面、店員さんの対応や、行列に対しての対応など、小さなことを丁寧に積み重ねる大事さも改めて感じました。

一緒に行ったゆかちゃんが、この日の様子をYoutubeにあげています。Do you love your city? という気持ちになったのも、Everlaneの影響もあったのかなぁと。

いくらEverlaneが好きとはいえ、1人だったら待てなかったと思うので、ゆかちゃんとパリスちゃんが一緒に並んでくれてよかった!ありがとう!

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everlane-logo https://www.everlane.com/r/akaneyokoo

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