米国は最近フード系スタートアップの起業&資金調達も盛んです。背景としては、以下のようなことがあるのではないかと。

  1. 人口増加にともなう食糧難を見据えた、生産の効率化
  2. 環境問題の悪化に伴う、既存の方法での食糧生産の限界
  3. 医療検査&解析技術の発達に伴う、アレルギーの細分化

1個目は日本にいると少子化の話題が多いので、あまり実感がわかない気がしますが、世界的には人口爆発の危機にあります。人口の増加に伴い、食糧不足が予想されているわけです。

2個目は地球温暖化など、環境問題の悪化に伴い、従来の方法で食糧生産量を増やすことが難しくなりつつあります。また1の人口増加がさらなる環境問題を引き起こす可能性も高く(資源とかいっぱい使うから)、農業や畜産業は新たな生産方法が必要となると考えられています。

3個目は遺伝子解析や腸内細菌(腸管内微生物などを含むマイクロバイオームなど)の分析といった解析技術の進化により、個々人の体質がこれまでより細かく見える化→アレルギーの細分化が予想されます。その細分化されたアレルギーや嗜好に対応するための新食品開発もあるのではないかなと。

マイクロバイオームについて詳しくはTechCrunchのこちら記事などをご参照ください↓
マイクロバイオームが医療と食品に対する概念に革命をもたらす

去年、高城剛さんの不老超寿という本を読んだのですが、高城さんはIgG抗体検査により卵アレルギーであることが判明しました。これまで食べていたのに!です。自分で認識していなかったものの、検査で判明した後、試しに卵を止めたところ、偏頭痛がなくなったり、睡眠不足による不調などがなくなり、調子がよくなったそうです。ということで、これまで顕在化はしていなかったけれど、検査により判明するアレルギーというものもこれからはありそうです。

人口、食糧生産、医療の専門家ではないので、詳しいことはわかりませんが、上記のような背景もあり色々と産まれている新食品たちをいくつかご紹介したいと思います。実際にトライしたものは、その感想も合わせて!

プロダクトハンターあかねのネタ帳の投稿をベースにしています)

野菜でできた牛乳代替飲料 Ripple

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近所のWhole Foodsで見かけたので買って飲んでみました。まるで牛乳みたい!ということはなく、豆乳と粉ミルクの間みたいな感じ?でした。でも大豆は入ってないのだそう。Unsweetenedのものを買ったのですが、ほんのり甘かったです。でも砂糖も入ってない。

Rippleは、牛乳より50%以上カルシウムが豊富で栄養価においては牛乳より優れています。単独で飲むのはちょっと微妙ですが、スムージーやオートミールなどを作る時にはアリかもーと思いました。100%ヴィーガンでラクトース、ナッツ、ソイ、GMO、グルテン全てフリー(入ってない)です。

1 人口問題 & 2  環境問題の観点
牛乳やアーモンドミルクに比べて、圧倒的に生産の際に使う水の量が少なく、また温室効果ガス発生も少ないのだそうです。牛を育てるために水が必要になりますし、牛のげっぷによりメタンガスもたくさん発生しますからね。

3  アレルギーの細分化の観点
ラクトースアレルギーなど乳製品に関連するアレルギーは、これから顕在化する人も多そうです。

同じような理由で植物ベースのフェイク肉系も盛り上がっています。フェイク肉については、過去のブログにポストしているのでこちら↓を参照してください。ちなみに冒頭の写真は植物ベース肉Impossible Meatでできた、Impossible Burgerです。

ビル・ゲイツも投資する野菜からできた肉!野菜肉は私たちの未来の救世主となる存在かも!?

鶏を殺さない鶏肉 SuperMeat

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こちらはフェイク肉ではなく、鶏の細胞を培養して作った鶏肉。味や質感は鶏肉そのままなのに鶏が死ぬことはない!なんかすごいですよね。飼育のための土地を99%カットできるのでエコフレンドリー、殺さないのでアニマルフレンドリー、しかも適切な環境で育てられているので本物よりヘルシーといいとこづくめ。

今の所は1個あたりの生産コストが高いのがネックなようですが、それもマスプロダクションになり解消することを狙っています。同じコンセプトのMemphis Meatというスタートアップも。Memphis Meatの方は、昨年8月にビルゲイツなども出資しており$17Mを調達しています。

Beyond MeatやImpossible Foodsなどフェイク肉も進化してますが、ラボ育ち肉とどっちが主流になるんですかねー。

参考記事: SuperMeat raises $3 million for lab-grown chicken /  Lab-grown food startup Memphis Meats raises $17 million from DFJ, Cargill, Bill Gates, others

1 人口問題 & 2  環境問題の観点
家畜を飼育しないので、生産のための土地を99%カットできる。また水の利用量、温室効果ガスの発生も少ない。

3  アレルギーの細分化の観点
鶏の細胞の培養なので、鶏肉と同じ成分だと思いますが、ラボ育ちなので微妙に含まれる細菌などが変わりそうです。しかも栄養価が本物より高い!

高タンパクなコオロギ食

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コオロギ食については、以前ブログにも書いているので、詳しくは以下のリンクを参照してください。味はちょっとモソモソした感じ?

コオロギ食が流行っている!コオロギ・エナジーバーを食べてみた。

1 人口問題 & 2  環境問題の観点
虫なので養殖コストが低く、牛や豚などと比べると同量のたんぱく質を得るためのコストが圧倒的に低いため、世界中の食糧危機の解決策としても注目されている。

3  アレルギーの細分化の観点
大豆や小麦グルテンにアレルギーをもつ人でも、コオロギ粉なら安心!

低カロリーアイスクリーム Halo Top

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低カロリーのヘルシーアイスクリームHalo Topも人気です。実際食べてみたのですが、思った以上にアイスクリームで美味しかったです。合成甘味料は使っておらず、オールナチュラル。混ぜる際に空気をたくさん含むようにしているようで、軽い食感。美味しいのでリピートしています。

Hale Topの場合は、主に低カロリーであることが売りで1 人口問題 & 2  環境問題の観点は薄いようですが、3  アレルギーの細分化の観点で牛乳がNGな人でも食べられる商品も用意しています。キャラメルマキアート、バナナチョコなど牛乳が入ってそうな味なのに入ってないんです。

このHale Topと同じような感じで、穀物が入ってないKNOWというパンがあります。グルテン、小麦、大豆、乳製品、ピーナツ、イースト何も入ってないそうです。パンの味するんだろうか?チアシード、ココナッツ、アーモンドなどのスーパーフードでできています。ワッフル、ドーナツ、マフィン、クッキー、パスタなどの商品を提供中。近くで売っているお店がなく、通販するほどでもないかなーと思い、まだ試してないのですが、買えるようになったら試してみたいと思っています。

なんとなく食系スタートアップが色々盛り上がっているなーと思ったので、まとめてみました!

またFastCompanyの未来の食品&食事についての記事 Six Artifacts From The Future Of Food が面白かったので、食の未来に興味をもった方はこちらもぜひ読んでみてください。2028年ぐらいを予想してるんですが、

  1. 子供達は自分のバイオリアクター弁当箱で培養したチーズをランチで食べる。
  2. 海ではなくラボで育った魚の寿司を食べる。
  3. 体内にセンサーを埋め込むことにより、腸管内微生物などを含むマイクロバイオームを逐一観察できるようになるので、ゲーム感覚で食事を変えて、腸内環境を改善することができる。
  4. ブレンダーが人気のスムージーのレシピをダウンロードして、材料のブルーベリーを勝手にオーダーしてくれる。ソーシャルメディアを操作して、時には価格操作もしてくれる。
  5. グローサリーデリバリーに、食品が安全かどうか産地などを確認するために追加料金を払う。
  6. 植物ベースの食品(植物ベースの肉など)を買うと政府が一部補助してくれる。
  7. 魚屋さんのディスプレイがハックされて、タイの劣悪な養殖場が映し出されちゃう。

などなど。ちょっと突飛ではありますが、すでに存在する技術の延長上の話なので、意外とありそうだと思いました。詳しくはこちら>Six Artifacts From The Future Of Food

文中でも紹介しましたが、高城剛さんの不老長寿は、未来の医療を垣間見れて面白いのでオススメです。

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