政治系サスペンスドラマ「House of Cards」にはまっています。陰謀と策略、駆け引き、愛憎劇とドロドロな感じがたまりません。日本でもHulu(2週間無料)Amazon(1話目無料)で見ることができるこのドラマ、Netflixという動画配信サービスのオリジナル制作ドラマです。

Netflixの今年の第2四半期決算の収益は$1.64 billion(約2,000億円)!この秋、日本でもサービス開始予定ですが、最初はDVDレンタルの会社(TSUTAYA DISCASのようなネット宅配サービス)としてスタートし、そこからインターネットを経由した動画配信サービスをはじめ、今ではオリジナルドラマを制作して配信しています。

最初の作品である「House of Cards」は米国テレビ業界で最高の権威であるエミー賞全9部門にノミネート→3賞を受賞しました。 

このドラマが興味深いのは、データドリブンで制作されたこと。データドリブンなことは知ってたのですが、どこがどんな風にデータドリブンなの?と思ったので、調べてまとめてみました。

過去のユーザーの利用動向から監督&主演俳優&リメイク作品を決めた。

監督はデヴィッド・フィンチャー(代表作は『セブン』『ファイトクラブ』『ソーシャルネットワーク』『ゴーン・ガール』など)、主演はケビン・スペイシー(代表作は『ユージュアル・サスペクツ』『セブン』『アメリカン・ビューティー』など)と豪華な組み合わせですが、これは監督や俳優が有名だから選ばれたわけではありませんでした。

  • 多くのNetflixユーザーが、デヴィット・フィンチャー監督の『ソーシャルネットワーク』を最初から最後までみていた。
  • 英国版の「House of Cards」がNetflixでよく見られていた。
  • 英国版の「House of Cards」を見ていたユーザーは、デヴィッド・フィンチャー監督作品、もしくはケヴィン・スペイシー出演作品をよく見ていた。

これらの事象を満たすユーザーがNetflixに一定数存在することがわかったため、Netflixはオリジナル作品「House of Cards」に$100M=120億円もの投資を決めたと言われています。
制作前から視聴ユーザー数がある程度予測されていたのですね。

パイロット版で試すのではなく、一気にリリース。続けて再生を促進した。

通常アメリカのドラマは、パイロット版と呼ばれる第1話を制作し、その反響を見て継続を決定します。ですが、Netflixはパイロット版を制作することなく、「House of Cards」2シーズン分を一気に発注したと言われています。

そしてシーズン1全13話を一気にリリースすることで、ユーザーを1週間待たせるのではなく、続けての視聴を促進し、Netflixからの離脱を防ぐためにこのドラマを活用しました。

Netflixが活用できるデータとして、以下のようなものがあるのだそうです。

  •  停止、巻き戻し、早送りポイント
  • いつ(日付/曜日/時間)、どこで(郵便番号)どんなコンテンツが見られているのか
  • どのデバイス(テレビ/PC/スマホ/タブレット)でどんな人(年齢/性別)がどんなコンテンツにアクセスしているのか
  • どこで止めて、どこで離脱するのか
  • ビデオ検索(1日に300万回)、ビデオ選択の行動、ビデオ評価などの記録
  • 動画の中のスクリーンショットでユーザーが好む/嫌う色、シーン、ボリュームなど

1週間に1度のリリースでは離脱が高くなってしまうことがデータによりわかっていたので、全部一気にリリース!なかなか潔い判断ですね。

ユーザーの嗜好に合わせて予告編を複数制作した。

プロモーションの面でもデータドリブンでした。Netflixは全員に同じ内容ではなく、普段見ている動画の嗜好に合わせて10種類の予告動画を配信しました。

デヴィッド・フィンチャー監督作品をよく見ている人には、デヴィッド・フィンチャー感あふれる予告映像を。ケビン・スペイシー出演作品をよく見ている人には、彼を中心にした映像を。そして女性が登場人物の映画やドラマをよく見ている人には、出演女優にフィーチャーした映像を配信しました。

Netflixは、どんなカバーの作品がよくクリックされているか、カバーに使われている色の傾向を分析したりといったこともしているそうです。ケビン・スペイシーが血まみれの手で座っているカバーも、緻密なデータ分析によって作られているのでしょう。

「House of Cards」はたった3ヶ月で、米国内200万、国外100万の新規ユーザー獲得に貢献したと言われています。さらに新規獲得だけでなく、多くのユーザーが退会を思いとどまるきっかけになっており、退会防止にも貢献しています。

Uberでもデータがキーワードでしたが、Netflixもデータがキーワードなんですね。

制作の背景も興味深いですが、リメイク作品ながら、今っぽさがいい感じにミックスされている所もなかなか面白いです。

情報を巧みに操るために、記者と共謀したりするわけですが、最初は新聞社の新人記者だったパートナーが、編集長の古い考え方に耐えられず、Twitterで炎上しながらネットメディアに転職したり。ディープウェブが出てきたり。SpaceXが花形の転職先だったり。なかなか今っぽい。

とにもかくにもケビンの冷酷さがなんともクセになります。Amazonなら1話目無料ですよ!Hulu未加入なら2週間無料なので、一気に見れちゃうと思います。

参考リンク
For House of Cards and Arrested Development, Netflix favors big data over big ratings
How Netflix Uses Analytics To Select Movies, Create Content, and Make Multimillion Dollar Decisions