オンデマンドタクシーサービスとして紹介されることが多いUberですが、実際はタクシー会社ではありません。Uberの正式な会社名は、Uber Technologies Inc. テクノロジーの会社です。

ちなみに、Uberはドイツ語で「すごく・とても~・超~」という意味があるので、そのまま訳すと「株式会社 超科学技術」。さすがにタクシーの会社の名前じゃないですね。

Uberの主力サービスであるUberXは、“自分の車を使ってお金稼ぎしたい人”と“車で移動したい人”をマッチングするサービス。簡単に言うと白タクとお客さんをマッチングしてくれるサービスです。Uberにとっては、車を運転する人も、車に乗る人も両方ともユーザー。Uberは双方にアプリを提供し、効率よくマッチングするサービスを提供しています。

UberXについて詳しく知りたい方は以下の記事がわかりやすいと思います。

そのUberが、どうして$50 Billion(約6兆円)もの評価額で資金調達ができるのか?その理由とまではいきませんが、Webのニュースと共に「こういう可能性があるからじゃないかな?」という点について書いてみようと思います。

ちなみに最近のBloombergの記事(2015/6/30の記事)によると、Uberは現在300を超える都市で提供されており、$415 millionを売り上げ、 $470 millionの損失を出しているとのこと。スケールがすごい…。

Uber × 個人情報

参照記事:Uber Executive Suggests Digging Up Dirt On Journalists

昨年末、Uberのシニアヴァイスプレジデントが、「Uberの乗車データを活用して、批判的な記事を書く記者のプライベートや、記者の家族について調べることができる」という嫌がらせ発言をしたことが話題になりました。Uberにとってはよくないニュースですが、Uberが非常にプライベートな情報を保持していることがわかります。

家の住所はもちろんのこと、「このユーザーは、毎週○曜日の×時に△に行く傾向がある」など、Uberは個人にひも付けた行動データを、将来的に活用する可能性があるのかもしれません。

ウェブではなくリアルな世界での行動データ、かつUberは車内という顧客接点も持っているので、ターゲティングや嗜好に基づいたレコメンドなど、GoogleやFacebookのようなことをUberは現実世界で実現させるのかもしれません。

ちなみに、そんなにタクシー乗らないし!行動データってほどではないのでは?と思われるかもしれませんが、UberはUberPoolという相乗りサービスもはじめていて、公共交通機関と比較しても高いと感じない価格帯になっています。

公共交通機関が2ドルのところ、UberPoolで行けば1人頭3ドルなど。1ドル差なら、ドアtoドアで移動可能なUberを選んじゃいますよね。そんなわけで、サンフランシスコでのUberはタクシーに乗るよりずっとハードルが低いのです。そりゃ行動データもたくさんたまる!

Uber × カメラ

参照記事:Uber drivers will mount cameras on their cars for crowdsourced neighborhood safety project

このニュースはUberがSafetipinという「エリアの安全性を可視化するアプリ」にデータ提供してますよーいい会社でしょーというイメージアップ戦略なのですが、これを応用すると、リアルタイムの街データをUberは取得できるということがわかります。

既にたくさんのデータを保有し活用しているUberですが、さらなるデータの取得の可能性も秘めています。Google Street Viewのリアルタイム版もUberで可能になるかも?

リアルタイムの街データというと、渋滞緩和などに活用されそうですが、「今、あの店行列できてるかな?」とか「路駐の混み具合どんな感じかな?」とか地味に便利な用途もある気がします。

Uber × デリバリー

参照記事:From Rides to Eats, Uber Launches New Food-Delivery Service
参照記事:Uber’s Latest Experiment Is Uber Cargo, A Logistics Service In Hong Kong
参照記事:Why Your Next Package Will Be Delivered By An Uber

ニューヨークではUberのランチデリバリーサービスがはじまりました。香港ではUber Cargoというバンのサービスが提供されています。これらのサービスでUberが運ぶのはヒトではなくてモノ。ヒトだけでなくモノも効率的に安く運ぼう→届けようとしていることがわかります。

いつ、どこで車が必要になるか?どの車がどの方向に走ると、最小のコストでヒト&モノを届けることができるか?といったことを、Uberは過去の膨大なデータとリアルタイムの情報から分析することが可能なわけです。データの力ってすごいですね。

記事中でFedexやUPSなどの既存のサービスより優れている点としてあげられているのは、Uberは即時対応ができる点。ほぼワンブロックに1台いるUberなら、今から○時間後の時間指定ではなく3分後にピックアップすることが可能です。

交通業界だけでなく、物流業界にも影響を及ぼしそうです。

Uber × セールス

参照記事:The Uberpreneur: How An Uber Driver Makes $252,000 A Year

このニュースはUberのドライバーが、ドライバーをしつつ車内で宝石を販売して、1年間で3000万円稼いだ話です。お買い物はどんどんインターネットにシフトしているし、スーパーのレジも無人化が進み、お店の人と話してお買い物することって本当に減ってますよね。

でも、そんな時代だからこそ敏腕営業マンのセールストークってきっと効くんだろうなーと思いました。Uberは運転手とコミュニケーションなしで乗れるというのも特徴ですが(目的地を事前に入力しておける&支払いはアプリ経由で降車と同時に決済)、逆に人と直接接点があるという点も、無人化が進む世の中で今後価値が高まっていくのでは?と思いました。

Uber × 自動運転

参照記事:Uber Opening Robotics Research Facility In Pittsburgh To Build Self-Driving Cars

Uberはピッツバーグに自動運転カーの研究所を設立しました。“人との接点がある!”という利点をあげたばかりですが、やっぱなんだかんだ自動運転になりますよね(笑)。とはいえ、ヴァーチャルではない接点があるという価値は保たれる気もします。

将来的にUberは全て自動運転になり、ヒトだけでなくモノも運ぶ私たちの輸送のプラットフォームになるんだと思います。そして車内では、私の移動履歴に基づいた広告体験が用意されていたりするのかもしれません。

というわけで、ニュースをベースにした私の妄想なので話が壮大ですが、さらに話を壮大にすると、インターネットというインフラが普及して、私たちは色んなものにアクセスできるようになったし(検索など)、逆に色んなものがデリバリーされるようになり(メールやターゲティング広告など)、生活が大きく変わりました。

Uberはインターネットとまではいかなくても、現実世界でのアクセス&デリバリーを担う巨大なインフラになる可能性があるので、みんなわくわくするんじゃないかなーと思いました。

とかいいつつ、私はLyft Lineの方が安いので、最近はもっぱらそっちを使ってるんですが…。Uberに全部の情報を保持されちゃったら、ちょっと怖いですしね。

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