編集委員の横尾茜です。

自分にとっては習慣化してしまって意識していないことが、他人にとっては目からウロコのライフハックだった!? なんて激レアなライフハックを探るインタビュー『突撃!隣のライフハック』。第6回は、精神科医のゆうきゆう先生に突撃しました。

ゆう先生は、医師業の傍ら10万人を超えるメールマガジン「セクシー心理学」を発行している有名精神科医。メルマガの他にも「心理学ステーション」を運営したり、多数のウェブサイトで記事を執筆したり、ご活躍の幅がめちゃくちゃ広い方で、心理学に関する著書も数多く出版しています。

ご多忙な中お時間いただき、心理学的見地を交えたライフハックをうかがってきました!

インタビューは以下から!

 

091209yokoo04.jpg
よこお:お医者さんなのに、こういった活動をするきっかけってなんだったんですか?

ゆうき:高校から医学部へ進学して、専攻を選ぶ際に、心理とか会話とかコミュニケーションについて興味があったので、精神科が自分に向いてるかなーと。メルマガやブログ、書籍の執筆などをはじめたのは、精神科医だとそういった活動をする人も多いので、自然な流れでした。

よこお:先生、東大医学部ですよね? そうそう入れるもんじゃないですよね? どうやって東大入ったんですか? その秘訣がわかったから入れるもんでもないとは思いますが(笑)。

ゆうき:うーん...高校生の時は、ひたすら参考書を読んでましたね。書いたりするんではなく、読む。しかも、1冊を熟読というより、大量に読む。ピンとこないのを続けててもダメなんで、ひたすらこなして、ピンときたのを採用していく。つまらなかったら読まない。今もそれは変わらなくて、心理学系の本を大量に読んでます。

よこお:忙しい中、原稿を書いたりする時間はどうやって作ってるんですか? ネタに困ったりとかしませんか?

ゆうき:時間に関しては、月並みですが「早起きする」ですね。夜は10時に寝て朝は4時か5時に起床してます。みんなより先んじたという優越感があるので、とてもいい気持ちで1日を始められます

よこお:早起きは見習いたいです...が、見習える気がしません(笑)。

091209yokoo02.jpg
ゆうき:それから原稿はできる限り効率よく仕上げるようにしてます。色々工夫はしてるんですが、

○ネガティブイベントを刺激にする

これはいわゆる「悔しさをばねにする」です。負けっぱなしにしたくないので、マイナスの刺激があったときは、それをネタにしてやろーぐらいの感じで原稿書きに打ち込んだりします。はかどります。

あとは、

○自分の意志の力を信じない

人は、いくら心で思っていても、視覚から入ってくる情報や物理的な距離の誘惑には勝てないんです。つまり...

視覚情報&物理的距離>>>>>心理

なんです。

例えば、今日からダイエットする!と強く思っていても、目の前にケーキがあったら食べちゃう(笑)。なので、誘惑を断ち切ることが大切なんです。

原稿を書くときも『ZORRO』というソフトを使っているんですが、これは今使っているアプリケーション以外を目につかないようにするソフトです。小さなことだけど、大きな違い。原稿書いてる途中でメールの着信があって気になってみちゃう...なんてこともありません。

とにかく、自分の意志の力でがんばる!!ってのを捨ててるんです。意志なんてないので(笑)。

それから、あえて

○カラオケや漫画喫茶で仕事する

なんて時もあります。カラオケや漫画喫茶は時間単位で課金される空間なので、時間=お金という感覚が生まれて、仕事を早く片付けないと、さらにお金がかかる!という、締切以外の早く書かなくてはいけない別な動機が生まれます。

それから、これは好みかもしれませんが...

○親指シフト入力

にしています。数年前にローマ字入力から親指シフト入力に変えました。これ早い。親指シフト入力じゃなかったら、漫画の原作まで仕事を広げることはできなかったかもしれません(笑)。

あとは入力といえば、単語登録は必須ですね。

「そうかれん」→「そうかもしれません」というように、よく使うワードは単語登録しています。使わない造語に、よく使うワードを登録しておくと便利ですよ。メールの返信もかなり早くなる。

091209yokoo05.jpg
ちなみに人は「ありがとう」と言われるとうれしい、ならできるだけ言いたい。単語登録してると、「あ」だけで「ありがとう」が出てくるので、簡単に言い続けられます。相手も嬉しいし、相手が嬉しいなら自分も嬉しい。かつ、「あ」だけで出るし(笑)。

よこお:ものすごい勢いでライフハックが! すごい! 勉強になります。それにしてもメールマガジンは創刊からもう10年以上続けてるんですよね!? 続ける秘訣ってありますか?

ゆうき:とにかく"おもしろい""楽しい"と思うことをやる。"おもしろい""楽しい"と思えるように自分を仕向ける。自分は短期的に結果が出ることが好きなので、すぐ反応が返ってくるメルマガやブログは向いてるんだと思います。

楽しくないとつかれちゃいますよ。よくみなさん、仕事につかれちゃうのは、おもしろくないからではないかと...。

よこお:夫婦生活に疲れたりするのも、楽しくないからですかね...?

ゆうき:う、うううーん...。

人は他人にしてもらったことより、他人にしてあげたことの方を覚えてるもんなんです。

現実:他人にしてもらったこと≒してあげたこと 記憶:他人にしてもらったこと<<<してあげたこと

持ちつ持たれつなので、大体みんなしてあげた分だけ、なにかしてもらってるはずなのに、してあげたことの方が多いように感じる。

だから変に我慢してはダメなんだと思います。「私はこんなしてあげてるのに...」という思いは解消しません。つのるばかりです

してあげてる...マインドを「楽しいからやってる」に変えていくといいかもしれないですね。

よこお:すごい...お仕事ハックだけでなく、恋愛ハックまで!またもや勉強になってしまいました。他に先生が普段意識していることとか、習慣づけていることがあれば教えてください。

ゆうき:常に人と接することは意識しています。

毎日同じことしてたら、そこに安住してしまうし、スタイルが変わらないので同じことの繰り返しになってしまう。だからあえて人と会うようにしています。ただ、人と会う!とひとことで言っても、新しい人と知り合う機会って作り出さないとなかなかない。

人間、気分には波があるので、そういうことに関しても気持ちが上がったり下がったりするんですが、上がってる時にイベントを企画したりしています。

でもって、インターネット上で「イベントやるよ!」って宣言してしまう。他人を巻き込むと責任が生まれるので、やらざるを得なくなる。というスパイラルで、あえて人と接する流れを作ってます。

091209yokoo03.jpg
よこお:先生は精神科医としてカウンセリングなど、人の話を聞くことも多いと思いますが、話を聞くときのコツってありますか?

ゆうき:なにか特別なことをしてるわけではないんですが、共感しつつ、イイ意味で野次馬根性をもって、相手の話を楽しんであげることが大事だと思います。

よこお:なんだか今回は、すごく論理的でわかりやすいライフハックがたくさん発見できた気がします。最後に先生の一押しライフハックをお願いします。

ゆうき:やはり"楽しむこと"ですね。もし楽しめないなら、"楽しんでる人に接する"だけでも違うと思いますよ。

091209yokoo06.JPG
編集部より:加工は先生のリクエストにお応えしました

ということで、第6回のインタビューいかがでしたでしょうか?

人ってのは××だから、○○するといいんですよ」なんて言われると、ものすごーく信憑性ありますね。

"人は他人にしてもらったことより、他人にしてあげたことの方を覚えてる"は、まさにそう!肝に銘じて、何事も楽しんでできるよう気持ちを切り替えたいと思いました(笑)。

ゆう先生、ためになるインタビューをありがとうございました。では、また次回! 誰かのライフハックを探りに行きます!

撮影協力:ゆうメンタルクリニック

ライフハッカー[日本版]編集委員・横尾茜)